■年収103万円の壁(つぶやき)

 先の衆議院議員解散総選挙を経て、最近はよくテレビの番組などで頻繁に年収103万円の壁について取り上げられています。
 既にテレビの報道番組やインターネット上などで解説や課題などの情報が発信されておりますので細かい内容は記しませんが、いわゆるこの壁は所得税に関わる「基礎控除48万円」と「給与所得控除55万円」を足した額で、非課税となる範囲(上限)になります。
 壁の存在により、これまで働き控えをしてきた方も少なくないと思いますし夫婦共働きがあたりまえのような時代背景もあって、漠然としてではありますが現代社会を考慮した見直しは必要と考えています。
 ただ、扶養控除や配偶者(特別)控除、そして130万円を壁としている社会保険料の負担など、報道等で指摘されているように総体的に考えることが不可欠と思います。例えば厚労省では103万円の壁の見直しに伴い、いわゆる「年収106万円の壁」を撤廃し厚生年金の加入対象を拡大する動きもあり、受給年金額の増を図るといえど保険料の負担を考えると単純なことではありません。
 また、壁の引き上げは所得税の減収に加え100万円を壁としている住民税の税収にも影響し、合わせて7兆円強の減収という試算もあることから自治体によっては予算の確保に戦々恐々としているのではないかと推察します。
 発端となった国民民主党の案では103万円を178万円に引き上げるとしています。壁が働き控えを招いているとしたら、この見直しは各業種における昨今の人手不足の解消にも繋がる可能性があります。ただ、現在与野党では最低賃金を1,500円にという考えがあるため、これが実現すれば壁の上昇率が約73%であるのに対し、労働時間の上昇率は21%程度にとどまります。労働力を確保するという観点から申せば壁は賃上げに沿った見直しをすることが重要にあるようにも思います。いずれにしましても労働者はもとより事業主さんの声、そして地方自治体の声など現場の実態に耳を傾けながら議論を尽くすことを期待したいと存じます。
 家計収入が増えることで育児しやすい環境となるのか、或いは労働時間が延びることにより子育てが難しくなるのか…この見直しが少子化問題にどう影響していくのか…それらのことも念頭に慎重な協議を進めて欲しいと思います。

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